三浦佑之 WEB-SITE
;三浦佑之著『増補新版 昔話にみる悪と欲望 継子・少年英雄・隣のじい』
1992年に新曜社からノマド叢書の一冊としてだた本の増補新版です。
未読の方はもちろん、すでに手にとっていただいたことのある方にも、今、あらたに読んでいただきたい一冊です。
【 目 次 】
はしがき
第Ⅰ部 継子いじめ譚の発生
第一章 シンデレラ
1 アッシェンプッテル / 2 サンドリヨン
第二章 日本のシンデレラ
1 米福粟福--異母姉妹 / 2 お銀小銀--妹の役割
第三章 おちくぼの君の物語
1 継子をめぐる家族関係 / 2 三の君と四の君
3 悪役と援助者
第四章 古代の家族と嫉妬譚
1 母系と父系 / 2 ふたりの妻--コナミとウハナリ
3 継子いじめ譚の基層
第五章 男の継子から女の継子へ
1 太子争い / 2 大津皇子事件
3 少女の物語へ
第Ⅱ部 英雄譚のゆくえ
第一章 古代の英雄
1 文化英雄スサノヲ / 2 王になる英雄オホナムヂ
3 悲劇の英雄ヤマトタケル
第二章 昔話の少年英雄
1 正統派の少年英雄-- 一寸法師
2 異端派の少年英雄
第三章 狡猾な英雄--俵薬師
第四章 笑われる英雄
1 力に頼る英雄 / 2 ほら話をする英雄--鴨取り権兵衛
第Ⅲ部 隣のじい譚のリアリティ
第一章 笠地蔵
第二章 福慈の神と筑波の神
1 巡り来る神 / 2 話型--拒否と受諾
第三章 蘇民将来
第四章 隣のじいの心
1 旅人を殺す隣のじい / 2 主役になる隣のじい
結 昔話と神話
増補
ウサギの快楽
昔話は残酷か
おじいさんとおばあさんの謎
参考文献/あとがき
【紹介】
2017年3月『日本口承文芸研究』第40号に、
小堀光夫氏による新刊紹介が出ています。御礼
以下のWEB書店からお取り寄せできます。
Amazon | 楽天ブックス | honto | 7net |
紀伊国屋書店 | TSUTAYA | E-hon | Honya-club |
yahoo | HMV&BOOKS online |
旧版 『昔話にみる悪と欲望 継子・少年英雄・隣のじい』
(新曜社 ノマド叢書 1992年3月10日 絶版)
【目次】
はしがき
一 継子いじめ譚の発生
1 シンデレラ
2 日本のシンデレラ
3 おちくぼの君の物語
4 古代の家族と嫉妬譚
5 男の継子から女の継子へ
二 英雄譚のゆくえ
1 古代の英雄
2 昔話の少年英雄
3 狡猾な英雄
4 笑われる英雄
三 隣のじい譚のリアリティ
1 笠地蔵
2 福慈の神と筑波の神
3 蘇民将来
4 隣のじいの心
結 昔話と神話
参考文献/あとがき
昔話を「読む」という作業を通して、何が見えてくるか。あくまでも言語表現の問題として昔話と向き合おうとした。ここでもやはり、昔話と古代の神話や物語とを往き来しながら論を構築している。
本書の「あとがき」には、次のように書いている。
正直に告白しておくと、私は、古老を尋ねて昔話を聞き歩き、録音テープをくり返し再生しながら翻字するといった昔話の研究者なら誰もが経験するはずの基礎的な作業をしたことがない。何度かフィールドワークに連れていってもらったことはあるが、語り手を安心させて上手に記憶を呼びおこすことのできる聞き手にはなれず、やっとの思いで昔話の「大断片」を録音すると、あとは世間話でお茶をにごすばかりであった。だからここでは、偶然に文字に記録されて残った古代の神話や伝承を読むのとおなじように、採録された昔話を読んできた。
手元には、すぐれた語り手から昔話を聞いて録音し、それを一語ずつ文字に移すという気の遠くなるような労苦をへて出版された昔話集の何冊かが積まれている。それらが書物として結実するために費やされた語り手や研究者の、奉仕活動にも似た貴重な時間や労力に感謝しつつ、そこに収められた昔話群と向き合い、一つ一つの昔話はどのように読めるかということを考えてきた。それはあるいは、昔話研究者からは批判のでそうなアームチェア的な方法かもしれないが、昔話論の試みの一つとしては許されるだろうと自分勝手に納得している。もちろん、こうした方法が認められるためには、あらゆる批判に耐えられるだけの分析力と論理性をもった<読み>を提示しなければならないのは当然だし、そうありたいと願いながら思考し続けてきた。本書の論述が昔話のおもしろさの深淵に届いているかどうか、採点結果を待つ受験生の心境である。 (「あとがき」より)
以下のような書評・紹介を目にした。
*藤原秀之 「司書が選んだ本」 (『図書新聞』92.5.2)
*常光徹 「三浦佑之著『昔話にみる悪と欲望』」
(『週刊読書人』92.5.18)
*小峯和明 「三浦佑之著『昔話にみる悪と欲望』」
(『図書新聞』92.6.13)
*『朝日新聞』92.4.26「読書」欄の「よみもの」に紹介
*『産経新聞』92.5.19「読書」欄に紹介記事
*野村敬子 「昔話にみる悪と欲望」 (『口承文藝研究』16号,93.3)
*『女性セブン』 92.8.20号の「この夏に読みたい!70冊の本」の1冊に。
Copyright (C) MIURA Sukeyuki All rights reserved.